事業会社としての取り組み
‐気候変動への対応
「カーボン・クレジット市場」実証事業への参加
株式会社ミツウロコヴェッセルは、東京証券取引所が経済産業省からの委託事業として試行取引を行う「カーボン・クレジット市場」実証事業に 2022年12月より参加しました。
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カーボン・クレジット市場実証事業について
2050年カーボンニュートラル目標実現のため、国の指針を踏まえ意欲的なCO2削減目標を設定し、目標達成のためのクレジット取引等を行い、国が実績を確認する自主的な枠組みである「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ基本構想」が政府より示され、そこで進められる項目として、自主的な排出削減目標の設定および目標達成のための排出量取引の仕組みとともに、その排出量取引を自主的に行う場として「カーボン・クレジット市場」の創設が掲げられています。
本事業は、カーボン・クレジットの価格が公示される形で広く取引される市場構築のための実証を行うものです。

SmartOWL®による配送効率化
SmartOWL®(スマートオウル)サービスは、LPガスメーターの情報を収集・分析し、実証実験で得られたノウハウを活用してLPガス業務の効率化を実現するソリューションです。また、LPWAにより収集した情報を、配送効率化に結び付ける一連のビジネスモデルと業務ノウハウについて特許を取得し、より多くのLPガス事業者様に本サービスをご利用いただけるよう展開しています。

配送効率化による環境負荷低減
LPガスを利用するためには、消費者宅へLPガス容器をトラックで配送することが欠かせませんが、この配送業務を効率化することでトラックの走行距離が短縮され、これによりCO2排出量の低減が期待できます。
実験により効果を実証済み
株式会社ミツウロコクリエイティブソリューションズは、2018年10月から2019年9月末までの期間で実験を行い、LPWA通信により自動取得したデータを活用し、配送効率化による効果を実証しました。
デジタルトランスフォーメーション(DX)により、実証実験では配送業務時間の3割短縮を実現した4つの特許技術とノウハウを搭載した独自開発のシステムをサービス化し、「SmartOWL®配送効率化ソリューション」として、2021年10月からLPガス事業者様への提供を開始しています。
自動検針による検針回数減少とCO2削減効果



配送効率化による効果

サービスイメージ図

風力発電事業

総発電出力 |
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2007年 3月 |
的山大島 風力発電所 |
長崎県平戸市大島村 | 32,000kW |
2008年 1月 |
神栖風力発電所 | 茨城県神栖市柳川 | 10,000kW |
メガソーラー事業
メガソーラーとは、住宅用太陽光発電と発電の仕組みは同じですが、住宅の屋根の上に設置するのではなく、未利用の広大な土地などに設置する、大規模な発電容量を持った産業用の発電設備をいいます。事業参画する発電出力約14,500kWの茨城県「水郷潮来ソーラー発電所」、発電出力約40,000kWの千葉県「富津ソーラー発電所」は、ともに次世代のエネルギーとして大きな期待が寄せられています。

総発電出力 |
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2014年 2月 |
水郷潮来ソーラー発電所 | 茨城県潮来市前川 | 14,500kW |
2014年 7月 |
富津ソーラー発電所 | 千葉県富津市加藤下薊作 | 40,000kW |
2メガワット未満の太陽光発電所
当社グループでは、再生可能エネルギーの普及のため、太陽光発電システムや燃料電池等の利用拡大に努めています。
上記メガソーラーより小規模な太陽光発電所(2メガワット未満)においては、現在19ヵ所が稼働しており、2021年度の総発電量は、7,152千kWhでした。

バイオマス発電事業
バイオマスとは、生物が太陽エネルギーを使って無機物である水とCO2からつくり出した有機性資源のことです(化石燃料は除く)。生命と太陽エネルギーがある限り、持続的に再生可能なエネルギーです。その中でも間伐材や建設廃材など、樹木に由来する「木質バイオマス」を燃料としています。木質バイオマスを燃焼することで発生するCO2は、木が成長過程で光合成により大気中から吸収したもので、実質的に大気中のCO2を増加させることがありません。このことを「カーボンニュートラル」と呼びます。

総発電量 |
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2006年 1月 |
ミツウロコ岩国発電所 | 山口県岩国市 | わが国初の木質チップ専焼 の1万kW級発電所です。 |
ミツウロコ岩国発電所で発電した電力は当社電力販売事業のお客様へお届けしています。
再生可能エネルギーの主力電源化の普及、電力系統の安定化に貢献する系統用蓄電所の建設準備の開始
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社は、北海道北広島市に「北広島第一、第二蓄電所」の建設準備を開始しました。
2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて再生可能エネルギー発電設備の普及が拡大される一方、太陽光発電や風力発電などの発電設備は季節や天候に左右されるため、発電量の予測や制御が困難という課題があります。この課題を解決する手段として、不安定な発電量を抑制する「調整力」の確保が不可欠となります。
本蓄電所においては、蓄電池を「調整力」として活用し、再エネ電源の発電計画に対する加不足分を蓄電池の充放電制御で補うことで電力系統※1の安定化にも寄与します。また、本蓄電所は分散型エネルギーリソースの制御などに用いることも可能です。
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社は、安定かつ効率的な電力の需給バランスを組成し、アグリゲーター事業者※2として、需給調整市場や容量市場などの新たな市場への参入を果たすことで、一層の再エネの導入拡大、系統の安定化に貢献すべく取り組んでいきます。

出力 |
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完成時期未定 ※3 |
北広島第一、第二蓄電所 | 北海道北広島市 | 3,085.6kW |
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電力系統
電力を需要家の受電設備に供給するための発電・変電・送電・配電を統合したシステム -
アグリゲーター事業者
需要家の電力需要や分散型電源等(蓄電池や、自家発電設備)の電気を束ねて効果的にエネルギーマネジメントを行う事業者 - ウクライナ情勢等の影響により納期の遅延が生じており、完成時期は未定となります。
再エネアグリゲーションビジネスの参画に向けた取り組み
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社は、再エネアグリゲーションビジネスの参画に向けて、蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代電力統合システム「電力制御統合セントラル(Integrated Power Control Central)」(以下IPoCC)の開発および実証事業に関し、日本工営株式会社と業務提携し、運用を開始しています。
本業務提携により、変動性の高い太陽光発電、風力発電等の再生可能エネルギー発電設備における発電量予測や再生可能エネルギーの需給調整サービスをはじめ、蓄電池等の分散型エネルギーリソースの制御などを用いることで、安定的かつ効率的な電力の需給バランスを組成するシステム「IPoCC」の構築を目指します。これにより、2021年度から段階的にはじまった需給調整市場や2024年度より開始する容量市場にもよりスムーズに対応できるようになります。
ミツウロコグリーンエネルギーと日本工営は、“epochmaking”を掲げ、次世代のスタンダードとなるような電力制御システムを目指して「IPoCC」の開発および実証に取り組むとともに、システムの外販化も見据え、将来のアグリゲーションビジネスの事業化等、再生可能エネルギーの普及と脱炭素社会の実現に貢献していきます。

「省エネコミュニケーション・ランキング制度」五つ星獲得
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社は、経済産業省・資源エネルギー庁が実施する「省エネコミュニケーション・ランキング制度」の2022年度評価結果において、小売電気事業者として最高評価の五つ星を獲得しました。
本制度は、各事業者の「省エネ」に関する一般消費者向けの情報提供やサービスの充実度、取り組み状況を評価し公表するもので、一般消費者が評価結果を電力・ガス会社を選択する際の参考情報として活用すること、提供された「省エネ」情報を基により一層の「省エネ」に取り組んでいただけるようにすることを目的としています。
ミツウロコグリーンエネルギーは、お客様にとって有用な「省エネ」に関する情報提供やウェビナー、SNSを活用した環境問題や脱炭素に係る取り組みの情報配信、節電を促すデマンドレスポンスサービスの利用拡大に積極的に取り組んでいます。

次世代電力統合システム「IPoCC」のデマンドレスポンスサービスの機能向上と拡充
ミツウロコグリーンエネルギー株式会社は、2021年7月より、特別高圧・高圧のお客様を対象に「デマンドレスポンス(以下「DR」)サービス」の提供をしていますが、昨今の燃料価格高騰や火力発電所の休廃止、猛暑等の影響により、厳しい電力の需給状況が続く状況下にあり、政府ならびに各エリアの一般送配電事業者からの節電要請が出ていることを踏まえ、2022年8月、次世代電力統合システム「電力制御統合セントラル“IPoCC”」のDRサービスの機能を充実し、新たな運用を開始しました。
<追加機能>
- DR実施結果レポートの早期配信
- 長期間のDR発動
また、2022年11月より、新たに低圧のお客様にも提供を拡大しています。お客様とともに本サービスを活用し、節電やピークシフト、省エネへの取り組みを通じて電力の需給逼迫緩和や経済的なエネルギー利用へ貢献し、脱炭素化社会に向けた再生可能エネルギー導入拡大につなげています。
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デマンドレスポンスとは、電力の消費を減少または増加させることにより電力の需要と供給のバランスをとるために、卸市場価格の高騰時または系統信頼性の低下時において、電気料金価格の設定またはインセンティブの支払に応じて、需要家側が電力の使用を抑制するよう電力の消費パターンを変化させる仕組みです。
再生可能エネルギーの普及が進む中、発電が天候に左右されることに対応する調整の仕組みが求められており、DR は有効な手段となっています。
苔栽培事業への取り組み
当社の遊休地を活用した新たな事業の取り組みとして、苔栽培事業を開始しています。2022年11月より2,500m2に圃場を拡張し、従来の種苔栽培に加え長尺シート(1mx50m)を18本設置し栽培しています。高速道路サービスエリア・工場施設内・鉄道事業者線路エリアでの防草緑化への活用が期待されます。

その他の気候変動対策への取り組み
採水地周辺の森林保護育成活動
当社は、グループ会社である株式会社ミツウロコビバレッジが天然水の商品づくり(ミネラルウォーター製販事業)において、水源地の森林保護育成活動に、地域社会と連携して取り組んでいます。山梨県が提唱する荒廃の進む国内森林の保護・育成活動に賛同し、鳴沢村第一区と協力し鳴沢村第一区有林整備のための森林ボランティア活動に参加する契約を結びました。この活動に対し株式会社ミツウロコビバレッジは、商品づくりに欠かせない水の水源涵養活動の一環としてとらえ、積極的に参加しています。
※2020~2022年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により実施していません。

国産小麦を利用したパンづくり
株式会社スイートスタイルが運営するベーカリー「麻布十番モンタボー」では、国産小麦を利用した冷凍パンの販売に注力しています。国産小麦を原材料とすることで輸送距離を短くし、輸入時の防カビ剤など薬剤を使用せず、また石臼挽きで製粉した原材料を採用し、各店舗で焼き上げた製品をお客様にご提供しています。これら環境・健康・美味しさ(香り)にこだわりぬいた商品は、新しい価値として多くのお客様にご支持いただいています。

自社施設屋上への太陽光発電ソーラーパネル設置
当社海外子会社であるGeneral Storage Company Pte.Ltd. (以下「GSC社」)は、ESGビジョンとして、"a green and caring tomorrow with self-storage”を掲げています。同社セルフストレージブランド『Lock+Store』は、このミッションを実現すべく太陽光発電事業者であるUnion Solar社と18年間の購入契約を締結しました。当社の運営するトランクルームであるChai Chee施設の屋上に設置(2023年1月完成)した太陽光発電ソーラーパネルは、最大出力が約487.3kWpとなり、同施設で自家使用することにより化石燃料由来のエネルギー使用量を約30%削減する見込みとなります。


空きスペースの菜園利用
『Lock+Store』は、現地園芸企業のSG Gardens社と提携し、Chai Chee施設の空きスペースの菜園利用に着手しました。菜園での収穫物は低所得世帯を支援するチャリティ団体に寄付、またはレストランへの販売を行います。

