CEO Message 社長メッセージ

「豊かなくらしのにないて」としてサステナビリティを楽しみながら、
大きなムーブメントを起こしていきます

サステナビリティとは「続けること」

私は常に「サステナビリティの本質とは何か?」を考えるようにしています。この1年を振り返ってみてもウクライナ問題、物価上昇、エネルギー価格高騰、為替変動といった外部環境の変化がありました。ミツウロコグループは、こうした外部環境の変化に適応しながら少しずつ先取りをしていくスタンスを貫いています。一番大切なことは、「どんなに環境が変わっても続けること」であり、それがサステナビリティなのではないかと感じています。地域社会の方々と共生を図るという意味においても、続けることは大事であると思います。

IT・デジタルリテラシーと環境リテラシーが大幅に向上

内部環境としては、ミーティングの効率化、お客様との新しい接し方、ITツールの更新など、コロナ禍で「新しい働き方」を取り入れながら変化してきました。おそらく昔の働き方に戻ることはなく、新しい働き方が通常業務として定着していくでしょう。コロナ禍の数年間で、私より上の世代の人たちもパソコンが使えるようになりましたし、営業の現場へタブレット端末を持参するようになりました。その結果、IT・デジタルリテラシーが大幅に向上しました。社内では、「これは環境によいのでしょうか?」「もっと節約をしましょう!」という会話が増え、環境リテラシーも確実に高まっています。この流れを止めないために、もう一段階上の投資をしていく方針です。

サステナビリティレポートの反響

サステナビリティレポートに対する社外の反響ですが、機関投資家の方々からはサステナビリティ経営の発信に力を入れはじめたことを高く評価していただきました。驚いたのは、個人投資家の方々からの反響です。主婦層やシニア層の方々はサステナビリティへの関心が高く、レポートを細かく読み込んでくださっているようで、「どうしてこの取り組みを行っているのですか?」「今後も続けられるのですか?」といった質問を受けることが何度かありました。このような反響があるということは、多くの方々にお読みいただいている証拠ですので、より一層サステナビリティを推進しつつ、情報を積極的に発信していきたいと思います。
社内においてもサステナビリティという「言葉」を共有していなかっただけで、サステナビリティを大事にする「想い」はずっと以前からあったと思います。サステナビリティレポートを読み、サステナビリティを共通言語として認識したことにより、これまで漠然と考えてきたことや無意識に実践してきたことが、実はサステナビリティだったんだと社員が気づいてきた感覚です。振り返ってみると、ミツウロコは昭和の時代から手帳に「3M(ムダ・ムラ・ムリ)をなくそう」と書いてあったくらいサステナビリティの意識が高い会社でした。「鉛筆は最後まで使い切りましょう」とか、「消しゴムは小さくなったら糊で2つをくっつけて1つにしましょう」とか、そこまで徹底して節約をしていたので、昔は「ケチウロコ」なんて呼ばれていました。現在は、事業戦略を考える上でもサステナビリティを踏まえたものにすることが絶対条件となりました。サステナビリティレポートを発行して本当によかったと思っています。
当社グループの主力事業は、エネルギー事業です。エネルギーというと「環境に負荷がかかるもの」という印象がありますが、「エネルギーの環境負荷は工夫によって低減できる」ということを、お客様にわかりやすく伝える努力をしていきたいという声が社員からも挙がっています。特に若手社員は、短期的ではなく長期的な視点で物事を見ています。当社グループは商売を通じて社会のお役に立ち、お客様との長期的なつながりを大切にしてきましたので、「サステナビリティ=持続可能性」に関することは、これからも意識高く推進していきたいと考えています。

サステナビリティに向けた各事業のキーワード

今年もサステナビリティレポートを発行するにあたり、各事業の方々が何を考えているのか、ダイレクトコミュニケーションでキーワードを抽出してみました。
エネルギー事業のキーワードは、「カーボンニュートラル」です。脱炭素に向けた取り組みを強化し、成長戦略へとつなげていくことで、社会的価値と自社の利益を両立した「CSV経営」の実現を目指します。既存ビジネスでの残存者利益を確保しながら、新エネ・脱炭素領域・都市ガス事業における新たな収益源を確立していきます。
電力事業のキーワードは、「新しい技術・新しいサービス」です。オフサイトコーポレートPPA、蓄電池、電力需給調整、デマンドレスポンス、電気自動車といったニュースが話題となっていますが、低環境負荷電力メニューの拡販など、新たな再生可能エネルギーアグリケーションビジネスを拡大していきます。
フーズ事業のキーワードは、「エシカル消費とフードロス削減」です。過剰包装の削減など環境負荷を考慮した製品の製造と販売、「セーブレッド」という規格外商品の販売によるフードロス削減に向けた取り組みを推進しています。また、労働集約型の職場が多いため、経済効率のみでなく、働きやすい環境を実現した店舗づくりを心掛けています。
リビング&ウェルネス事業のキーワードは、「健康・スポーツ&ウェルビーイング」です。LTBプログラムを基にした健康ボウリング教室を開催するなど、スポーツに取り組める機会や環境を増やしています。ウェルビーイングを意識したハード(施設)とソフト(プログラム)の導入により、人々が究極的によい状態となれる方法を追求していきます。
その他事業のキーワードは、「環境適応業&3M(ムダ・ムラ・ムリ)の解消」です。社会環境に適応しながら最適なソリューションを提供していきます。配送業務の効率化、走行距離の短縮化、環境負荷の低減など、可能な限り3Mを解消していく方針です。

社長メッセージ

リスクバランスを考慮しつつチャレンジをし続ける

当社グループの取り組みには、時として早すぎるものがあります。例えば、水素の研究は20年ほど前から取り組んできましたが、世間一般では最近やっと話題になってきました。下手をすると20歩先を行ってしまいがちな我々ですが、半歩先ぐらいが丁度いいと私は感じています。自ずと人員や投資金額をスモールスタートで行う風習があるため、大失敗になることはありません。なかなか実らない取り組みもありますが、失敗も含めていい経験になりますので、これからも前向きにどんどん挑戦していきます。
こうした取り組みが許されるのも、本業であるエネルギー事業のおかげです。既に変革期ではなく安定期に入っているので、お客様からの厚い信頼も得られていますし、屋台骨がしっかりしている分、安心して多様な領域にチャレンジができるのは非常にありがたいことだと実感しています。また、明文化されていないものの、「その取り組みが社会に貢献できるかどうか」というアンテナを持ち、常にリスクバランスを考慮して挑戦をしています。結果として、“将来に向けての取り組み”と“現実的な目の前の商売”のバランスが上手に取れているのだと感じます。
短期的な商売をしている割には長期的に人が変わらないので、「顔の見える会社」というのがミツウロコグループの特長なのかもしれません。老舗の和菓子屋もそうです。昔からの定番商品が並んでいて、新作商品はたまにしか出ませんが、少しずつラインナップは変わっていきます。店に入れば顔見知りの店主や店員がいて、お客様は安心して買い物ができます。暖簾や看板だけでなく、人の魅力で商売が成り立つ。商品だけでなく、人が好きだから来店する。そういったお客様や地域社会とのつながりを、これからも大切にしていきたいと思います。

ステークホルダーを巻き込んでカーボンニュートラルを実現

カーボンニュートラル実現に関しては、「巻き込み型」でやっていこうと思っています。エネルギー事業はアップストリームからダウンストリームまで全部つながっていますので、自社だけではできないことがたくさんあります。気候変動リスクに直結するのがCO2排出量ですが、バリューチェーンCO2排出量の約99%がScope3であるため、削減には多くのステークホルダーの協力が不可欠です。現在はまだありませんが、例えばカーボンニュートラルに向けた取り組みをしていることを示すステッカーを配布して、加盟店の意識を高めていく必要があるかもしれません。あるいは、最近販売を開始した「カーボンニュートラルLPガス」をアピールするサイネージを出しておけば、環境意識の高いお客様が「あそこのガスを買おう」と選んでくれるかもしれません。エネルギー業界において「私どもの製品はエコです」とか「我々はこんなことをしています」というPRを目にすることはあっても、「みんなでやろう!」という話はあまり聞きません。ダウンストリームへ行けば行くほど、カーボンニュートラルへの意識はあってもできることは限られてしまいますので、その輪に加わりたいという人は多いのではないでしょうか。私は、そういう意識の高い人たちを一人でも多く巻き込んでいきたいですし、ミツウロコグループが特色を出して、主体的に、積極的に、一人ひとりの意識を高める活動ができたら面白いと思っています。
内部施策としては、全国ミツウロコ会約1,800社の販売店ネットワークを活かし、会員に向けて高効率ガス機器の普及支援、LPガス燃転の積極推進、新エネ商材の販売支援、新しいビジネスモデルの取り組み支援といったカーボンニュートラル実現に向けた具体的な支援を実施しています。
外部施策としては、取引先の配送効率化ソリューションの導入推進により、配送の走行距離を減らすことで燃料消費を抑制し、CO2排出削減を目指しています。今後はサステナビリティ推進プログラムをつくり、全国ミツウロコ会や多くの仲間とともに、大きなサステナビリティ・ムーブメントを起こしていきたいと考えています。

サステナビリティを肌で感じる体験型のプログラムを創設

これまでも人財育成の一環として階層別研修、ダイバーシティ研修、コンプライアンス研修、人権研修などを実施してきましたが、何事も実際に体験するのが一番の近道です。そこで今後は社員をサステナビリティが体験できる国や地域へ派遣し、肌で感じてもらう体験型プログラムを創設したいと思います。

30年後には、今ある事業の大半が新しい事業に入れ替わる

当社グループは、2026年に創立100周年、創業から140年を迎えます。これからの4年間は、いままで歩んできた“道すがら”を見つめ直し、私たちが誇りをもって次の世代につなげなければならないこと、私たちがこれからも大切にしたいこと、そんな想いをまとめていきたいと考えています。会社として大切にすべき行動規範を「SOLA(Simple、Organic、Live、Advanced)」として掲げていますので、これらの考え方を大切にしながら、時代に必要とされる会社であり続けたいと思います。
10年後は、現在の延長線上の最終形として、エネルギー分野をはじめとする各事業が完全にストレッチした姿を思い描いています。それぞれの業界で各事業が主要なポジションにあり、業界のリーダーになっていることが目標です。それと同時に、新しい事業の芽が複数育ち、各々へ新しい人財が傾斜配分されているでしょう。
30年後は、今の事業の大半が新しい事業に入れ替わっていることを期待しています。私は会社を「毎年3%の配分で変えていこう」と提案していますので、30年でちょうど会社が100%新しくなる計算です。会社を新しくすることは、お客様にお届けする商品やサービスも新しくなるということです。常に挑戦者としての先取性を大切にしながら、お客様に必要とされ、役に立ち続ける私たちでありたいと思います。
100年後は、地球環境がどのようになっているのかさえ誰にもわかりません。もし、人類が新しい生活様式で人生を楽しんでいるとするならば、私たちミツウロコグループも引き続き「豊かなくらしのにないて」として活躍していることを望んでいます。その頃には地球を飛び出し、“ミツウロコ星”などの生活コロニーを経営していたら面白いですね。今いる一番若い社員は100年後も元気に生きている可能性がありますから、100年後のミツウロコグループをその目で見つつ応援し続けて欲しいと思います。
これからもミツウロコグループは、ステークホルダーの皆様とサステナビリティに取り組み、お客様一人ひとりの豊かなくらしづくりに貢献してまいります。