Special Interview 【特集】インタビュー

ミツウロコビバレッジ環境推進室の挑戦

株式会社ミツウロコビバレッジ 営業統括営業西日本担当 主任 兼 環境推進室 主任 吉田 伊織

ミツウロコビバレッジの事業内容と生産体制の拡充

ミツウロコビバレッジは、ナチュラルミネラルウォーターの製造・販売を担う会社で、岐阜養老工場・山中湖工場・鳴沢工場の3工場を中心に事業を展開しています。子会社である静岡ミツウロコフーズは静岡市内に庵原工場と興津工場の2工場を構え、天然水の他、飲料のOEM製造を中心に茶系飲料や果汁飲料といった自社商品も製造しています。現在は5工場で年間約4,000万ケースを生産していますが、2025年7月からは庵原工場に毎分300本の製造が可能な新ラインが誕生し、年間5,000万ケース規模へと大きく拡充しています。

環境推進室の発足と主な役割

環境推進室は、ミツウロコビバレッジとして環境課題にどう向き合うかを明確にするために設置された組織です。静岡ミツウロコフーズと事業が一体となり、飲料製造に関わる環境負荷をより包括的に捉える必要が生じたことから、正式に発足しました。本社と岐阜工場を中心に私が担当し、各拠点にメンバーを配置して、連携を取りながら活動を進めています。
環境推進室では、まず「そもそも飲料事業として何が環境負荷になっているのか」を丁寧に洗い出すところから始めました。エネルギーの使用量、取水・排水量、CO₂排出量、廃棄物、他社の取り組みとの比較など、現状を理解することが最初のステップです。そこから各工場や各拠点の課題を共有し、改善の糸口を見つけています。たとえば静岡ミツウロコフーズでは、蒸気ロスの削減、みかんの搾汁残渣やコーヒーかすの再利用といった具体的なテーマがあり、現場の担当者と対話を重ねながら進めています。また、A重油ボイラーを都市ガスへ転換することで、年間4,000トン規模のCO₂削減が見込める取り組みも始まりました。
環境推進室は、まだ走りながら体制を整えている段階です。それでも拠点同士の対話が増え、情報共有が進み、少しずつ取り組みがかたちになり始めています。今後は、こうした大小さまざまな改善を積み重ね、ミツウロコビバレッジ全体として、環境への貢献をより明確に示していきたいと考えています。

飲料事業が抱える主要なサステナビリティ課題

ミツウロコビバレッジの事業における大きな課題の一つは、依然として主流となっているペットボトル容器への環境対応です。私たちは再生100%リサイクルペットボトルの採用やラベルレス化を進めていますが、工場ごとに対応状況が異なる点や、世界的に缶・瓶へのシフトが進むなかで、日本市場特有の課題も感じています。
また、水源保全の取り組みとして、山梨県の鳴沢工場近隣の山林「ミツウロコの森 なるさわ」および岐阜県の岐阜養老工場近隣の遊歩道「ミツウロコの小径(こみち)」において、環境美化による地域貢献を目的に、ミツウロコグループ社員とその家族、関係者による清掃活動を実施しています。目に見えない水質リスクである有機フッ素化合物(PFAS)への対応強化も重要です。新ラインには活性炭による除去装置を導入しましたが、引き続き安全性の追求が求められます。

食の安全と品質第一への取り組み

食の安全については、まず水の充填工程で加熱殺菌方式を採用し、安心して飲める品質を確保しています。新工場では非加熱方式にも対応していますが、用途に応じて最適な方法を選択しています。また、製品ごとに抜き取り検査を行い、微生物検査や官能検査を経て合格したものだけを出荷しています。さらには、原水や製品について第三者機関による定期検査も実施し、客観的な安全性の確認も徹底しています。
品質管理の基盤を強化するため、ミツウロコビバレッジでは JFS-B 規格の認証を取得し、生産工程や品質管理体制のレベル向上に取り組んでいます。静岡ミツウロコフーズでは FSSC22000 を取得しており、両社で安全性と品質を高い基準で担保できる体制を整えています。

環境に関する取り組み

エネルギーに関する取り組みとしては、まずできるところから一つずつ改善を進めています。工場や事務所にはまだ蛍光灯が多く残っているため、LED照明への切り替えを進め、長寿命化と省エネを同時に図っています。
環境面では、取水・排水の管理も重要な課題です。工場では排水のpH値や水量を常時モニタリングし、適正処理を徹底しています。水源の状況は気候変動の影響も受けるため、降雨量や積雪量の変化を敏感に捉えながら、水資源を守る意識をより高めています。
今後は2030年を一つの節目とした環境目標の設定も視野に入れています。大手飲料メーカーが環境目標を明確に掲げるなか、当社としても各拠点と連携し、省エネ施策、再エネ導入、CO₂削減につながる取り組みをより具体化していく段階であると考えています。

地域貢献に関する取り組み

地域貢献に関する取り組みとして、岐阜養老工場がある海津市、鳴沢工場がある鳴沢村、静岡ミツウロコフーズがある静岡市と災害協定を結び、災害発生時において要請があった場合、救援活動の一助として、ミネラルウォーター、トイレカーに利用可能な原水およびその他調達可能な物資を提供・支援する体制を整えています。また、各工場周辺の清掃活動や地域イベントへの協賛を通じ、地域の環境保全や活性化にも貢献しています。さらに最近では、静岡県教育委員会が主催する「静岡県SDGsスクールアワード2025」に協賛し、地域の子どもたちがSDGsに取り組む学びを支援するなど、地域経済圏の発展と次世代育成にも積極的に関わっています。

今後のサステナビリティやSDGsへの取組み

サステナビリティへの意識は、社内でも少しずつ変化してきていると感じています。リサイクル素材の活用や、非加熱充填による軽量ボトルの検討など、環境に配慮した製品づくりの議論が増えてきました。これまで「安心安全」を最優先として加熱処理を中心に取り組んできましたが、その工程を見直すことでCO₂削減につながる可能性もあり、環境推進室としての視野が広がってきています。また、省エネ意識や日常行動の変化など、社員一人ひとりの意識啓発も今後の大きなテーマです。
環境教育については、社内向けの環境セミナーやワークショップの開催も検討しています。他社の先進事例を学ぶと、思いもよらない工夫が多く、参考にしながらミツウロコらしい取り組みを実現していきたいと思います。「ミツウロコに任せれば環境のことは大丈夫」と言っていただけるようなブランド価値を築き上げていくことが私の大きな目標です。
将来的には物流効率化によるCO₂削減にも挑戦したいと考えています。他社製品との共同配送など、トラックを無駄なく運用できれば、環境負荷の低減だけでなく物流現場の労働課題の解決にも寄与できます。また、使用済みペットボトルをアパレル素材などへ活用し、循環型のモデルを構築する施策にも可能性を感じています。
サステナビリティへの取り組みは試行錯誤の連続ですが、社内で議論を重ね、チャレンジするプロセス自体に大きな価値があると思います。小さな気づきや行動の積み重ねを、組織全体に広げていくことが、持続可能な未来へ向けた第一歩だと考えています。

【表彰式】
2026年2月5日(木) 札の辻クロスホール(静岡市葵区呉服町1丁目30番地札の辻クロスホール6階)詳細はチラシをご覧ください。