TOP MANAGEMENT MESSAGE トップマネジメントメッセージ

代表取締役社長 CEO 田島 晃平

未来を見据えたサステナビリティ経営

株主の皆さまには、平素より格別のご高配を賜り、厚くお礼を申し上げます。株式会社ミツウロコグループホールディングス第116期(2024年4月1日から2025年3月31日まで)のご報告申し上げます。

ミツウロコグループにとってのサステナビリティ経営は、長期的な視点で持続可能な成長を目指すことです。当社は2026年に創立100周年、創業140周年を迎えますが、古くから治山治水に貢献し、環境に配慮した経営を行ってきました。サステナビリティの本質を考えるとき、「米百俵の精神」が浮かびます。長岡藩の小林虎三郎が、目の前の米を教育に投資することで将来の繁栄を目指したように、当社も社員教育をはじめとした人財への投資を継続的に行うことが重要だと考えています。社員一人ひとりが学びを通じて成長し、人的資本が強化されることで、より「幸せな会社」をつくることができます。社員が自分の子どもを当社に入れたいと思うような会社をつくることが、次の100年間の持続可能な成長につながると信じています。

第116期の業績について

当連結会計年度における我が国の経済情勢は、賃金の増加や雇用情勢の改善が見られインバウンド需要の増加もあり、緩やかな景気回復が続きました。一方、物価上昇の影響で個人消費は低迷し、輸出の動きは弱く、内需の寄与度は低下しました。また、米国の今後の政策や、中国経済の今後の懸念など、全体として、地政学的リスクや物価上昇圧力が経済情勢に影響を与え、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く経営環境は急速に変化しており、国内のエネルギー市場においては、価格の上昇と供給の不安定さが顕著でした。電気・ガス代の負担軽減措置が終了し、家庭や企業のコスト負担が増加、省エネ対策が求められました。エネルギー価格は上昇傾向にあるものの、原油価格は比較的安定して推移しました。脱炭素化に向け日本では、第7次エネルギー基本計画の策定が進み、再生可能エネルギーと原子力の最大限活用が打ち出されました。一方、米国では第2次トランプ政権の誕生に伴い、気候変動対策への関心が低下し、脱炭素化の進展に不透明感が漂うなど、全体として、脱炭素化の取り組みは進展しているものの、地政学的リスクや政策の変動が影響を与えております。

このような状況下、エネルギー事業者は環境適合、安定供給、経済効率の観点から、サステナブルな社会に向けた低炭素化・脱炭素化、安全・安心な社会に向けたレジリエンス強化、安定供給継続・事業継続に向けた経営基盤の強化等を高度かつ迅速に進めることが必要と考えております。

当連結会計年度の業績としては、当社グループのコア事業であるエネルギー事業および電力事業において営業政策により売上高は増加しておりますが、電力事業は容量市場への拠出金の影響が加わり増収減益となり、エネルギー事業においては人財や設備に対する投資費用の増加により増収減益となっております。一方で、フーズ事業においては飲料事業の拡販政策と工場の一部設備増強による製造原価低減を主因に業績拡大を続けているほか、海外事業においても投資費用が一段落し安定的に業績推移したことにより、連結業績に寄与しております。また、政策保有株式の縮減を行い、投資有価証券売却益50億66百万円を特別利益に計上しております。以上により、売上高は前期比9.9%増の3,396億56百万円、営業利益は前期比28.9%減の87億69百万円、経常利益は前期比24.8%減の100億5百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比15.5%増の105億15百万円となりました。売上高および親会社株主に帰属する当期純利益は、連結会計年度の過去最高益を更新しております。

配当について

当社は、株主様への利益還元を経営の重要課題の一つと位置付け、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を勘案し、総還元性向50%以上を維持するとともに、累進配当を継続して実施していくことを基本方針としております。

当連結会計年度におきましては、前連結会計年度に引き続き電力事業が業績を牽引するとともに、フーズ事業、海外事業の業績が前年対比改善いたしました。また、投資有価証券の売却を行ったこと等を主因に、売上高および親会社株主に帰属する当期純利益について、過去最高益を更新しております。

現状の財務基盤に鑑み、株主還元強化および安定した配当政策実施の観点から、当連結会計年度末の配当金につきましては前連結会計年度より15円増配となる1株当たり56円とさせていただきます。

当連結会計年度においては、株主還元の更なる充実、資本効率の向上を図るため、自己株式を39億円取得しており、総還元性向は67.5%となります。

翌連結会計年度の配当につきましても、1株当たり56円を予定しております。

当社は前連結会計年度より500億円の中長期的な投資枠を設定しており、初年度の前連結会計年度は86億円、当連結会計年度は60億円の投資を行いました。総還元性向50%以上を維持した上で、今後も成長が見込まれる事業分野への投資や戦略投資、既存事業の維持強化への投資を行うことにより、持続的な成長と企業価値の向上、株主価値増大に努めてまいります。

株主の皆さまにおかれましては、今後ともより一層のご理解・ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

代表取締役社長 CEO
田島晃平